8月24日 アートインフォメーション 上原美術館
現在、上原美術館では仏教館で『出逢い―上原美術館の収集と調査』、
近代館で『再会-またであう、コレクション』という企画展を開催しています。
この展示会は8月31日までで、この展示の終了後、来年の11月2日まで1年2か月の長期休館をして
近代館の大規模な修繕工事を行います。
今回は四半世紀動き続けた空調機器の更新のほか、収蔵庫の増設、仏教館と近代館の事務室の一体化、連絡スロープの設置、美術館周辺の整備など、美術館や文化財を未来へ「つなぐ」ための工事です。
今回は近代館の『再会-またであう、コレクション』についてご案内します。
近代館については5月25日の放送で、展示室中央に円形の展示台が作成途中であることを
紹介しましたが、無事完成して設置しています。



今回、紹介する作品は、岸田劉生が生涯でたくさん描いた麗子像のひとつです。
展示している絵が少し珍しいのは水彩絵具で描かれている点です。
こちらの作品は麗子7歳の像で、劉生が描きたいと言っていた
不思議な「美」が感じられると思います。
顔の大きさと小さな手、そして不思議なほほえみと
浮世絵や中国の古い絵からの影響も感じられます。
鮮やかでおしゃれな着物も目を引きます。

麗子の水彩画のとなりには、友達の於松を展示しています。
劉生は肺病にかかり、転地療養のため藤沢の鵠沼海岸に居を移しましたが
その時に麗子だけでなく、近所に住む友達の於松のことも描いていました。
並べてみると、二人の着物の質感をとてもよく描き分けていることがわかります。

また、画面の上には「村娘之図 於鵠沼 岸田劉生寫」とありますが、
左上にも文字があり、「おまつちやんの肖像」と書かれています。
これは劉生が遊び心で文字を描き込んだようですが、優しさが感じられます。
麗子と於松は関東大震災で離ればなれになりますが、
数十年後、再会する機会があったそうです。
そして、これらの絵が描かれてからおよそ100年。
いま上原美術館で二人が「再会」しているのも一つのご縁ではないでしょうか。
奥の展示室ではさまざまなコレクションをご紹介していますが、
モネやシスレーが描いた作品の間には、
モネが描く水連に見立てたうつわを並べてみました。

このうつわは、三島のさんしんギャラリーでも展示したことがある
伊豆・下田の陶芸家、土屋典康さんの作品です。
他にもさまざまな展示をしていますので、ご来館いただき、
楽しんでいただきたいと思います。
展覧会は8月31日まで、無休で開催しております。
美術館基本情報
上原美術館 下田市宇土金341 電話:0558-28-1228
●展示:近代館「再会-またであう、コレクション」
●会期:開催中~2026年8月31日(月) 会期中無休
●開館時間:9時30分~16時30分(入館は16時まで)
●入館料:大人1000円、学生500円、高校生以下は入館無料
●近代館に隣接する仏教館では「出逢い―上原美術館の調査と研究」を同時開催。
*工事休館の知らせ:2026年9月1日より2027年11月2日まで、修繕工事のため休館します。