6月22日 アートインフォメーション 上原美術館
上原美術館では5月31日から、仏教館では『出逢い―上原美術館の収集と調査』、
近代館では『再会-またであう、コレクション』という企画展が始まっています。
9月1日から来年の11月2日まで1年以上休館するため、その休館前最後の展示として
上原美術館やコレクションの歴史を振り返るような企画としました。
今回は仏教館の企画展「出逢い」についての紹介です。
仏教館の企画展「出逢い」は、美術館と仏像の出逢いをテーマにしています。
その出逢いには2つあって、1つは仏像を収集し、コレクションに加えるという出逢い、
もう1つは調査で出会う伊豆の仏像との出逢いです。
今回はコレクションとなった仏像や仏画との出逢いについてお話します。
最初の紹介は平安時代の十一面観音像です。
当館は昭和58年春の開館当時、明治時代から昭和にかけてつくられた130体の仏像を
展示しましたが、古い仏像は所蔵していませんでした。
古さとしてはこの仏像が上原美術館がコレクションした最初の仏像なのです。

大きさは52.2㎝、平安時代も早い頃の10世紀、今から千年以上前の仏像です。
この仏さまの特徴は頭上に10個の小さな頭が乗っているところで、
名前もここからきています。あらゆる方角を向いた10個の顔は
どの方角の人も見逃さず救うという力の象徴です。
金色に光っていますが、桜の木でできており、
ほぼ全身を一本の木からという凄い技術で作られています。
この仏像は今でも上原美術館の主役、顔といえるでしょう。
次に紹介するのは、今から700年ほど前、鎌倉時代の終わりから南北朝時代に描かれた
弘法大師空海の一生を描いた長い絵巻物の一部です。

朱色の建物の中に座っているのは弘法大師、そして建物の正面の庭に座っているのが
珍賀という中国のお坊さんです。
弘法大師は密教を学ぶために中国の唐に渡りましたが、密教を正当に伝承しているのは
恵果阿闍梨という人一人だったそうです。
恵果阿闍梨は、奥義を伝えるのに相応しいものが弟子の中にいないと言って
ふさわしい人が現れるのを待っていたとか。
弘法大師はそのお眼鏡にかなって密教の全てを授けられ、日本に伝えることができました。
しかし、中国人の弟子たちは面白くなく、珍賀が中心となって
弘法大師の悪口を広めたのです。
すると珍賀の夢の中に四天王が現れて、さんざん諫められたということで、
驚いた珍賀は弘法大師のもとを謝りに訪れたそうです。
この図はそのような場面を描いています。
以上、上原美術館が出逢った仏像や絵画から2点をご紹介しました。
今回の企画展は8月31日まで無休です。ぜひご来館ください。
美術館基本情報
上原美術館 下田市宇土金341 電話:0558-28-1228
●展示:仏教館「出逢い―上原美術館の調査と研究」
●会期:開催中~2026年8月31日(月) 会期中無休
●開館時間:9時30分~16時30分(入館は16時まで)
●入館料:大人1000円、学生500円、高校生以下は入館無料
●仏教館に隣接する近代館では「再会-またであう、コレクション」を同時開催。