10月27日 アートインフォメーション 上原美術館
上原美術館ではこの秋、仏教館で特別展「伊豆のみほとけ」、
近代館では企画展「印象派を楽しむ」を開催しています。
本日は仏教館の特別展について紹介します。
今回の展示では、当館が数十年前に調査した、でも、ここ二十年くらいはご無沙汰していて、
展示したことが無い、そんな仏像を選んでお集まりいただいています。
その中で今日は、南伊豆町入間地区、海蔵寺に伝わる十一面観音像を紹介します。

この仏像は、昭和61年(1986)11月16日、当館の調査で発見されました。
その時、初めて千年前のお像だということがわかり、
お寺のご住職は大切にせねばと、厨子を作って、封じ込んでしまったのです。
厨子は扉が付いていますが、小さくてお腹の部分しか見ることができませんでした。
その後、12年の歳月が過ぎ、ご住職が交代されたこともあり、
厨子を壊して仏像が取り出されました。
そこで今回、お願いして特別展に展示させていただけることになりました。
立っているお像で、一本の木からほぼ全身を作っている一木造りの、高さが103.9㎝の仏像です。
これだけ大きな仏像を一木造りにするのはとても古風な作り方で、
平安時代でも古い方、10世紀、千年以上の前の仏像だと分かります。
頭の上には十一面観音の特徴で顔が並んでいます。
これは、あらゆる方角を見て、苦しんでいる人、困っている人を
絶対に見逃さないという姿なのです。
今回展示している仏像は、ほとんどの方が初めて見るものばかりと思われます。
これを機会にぜひご来館の上、ご鑑賞ください。
美術館基本情報
上原美術館 下田市宇土金341 電話:0558-28-1228
●展示:仏教館「伊豆のみほとけ」
●会期:開催中~2026年1月12日(月・祝) 会期中無休
●開館時間:9時30分~16時30分(入館は16時まで)
●入館料:大人1000円、高校生まで入館無料
●仏教館に隣接する近代館では「印象派を楽しむ」を同時開催します。