8月25日 アートインフォメーション 上原美術館
現在、上原美術館では企画展として、近代館で「であう、はじまる―画家たちの初期作品」、
仏教館では「伊豆 民間仏めぐり」を開催中です。
今回は、須田国太郎という画家の作品を紹介いたします。
須田国太郎は、明治生まれの京都出身の画家で、京都大学の美学美術史を学んだという
少し変わった経歴の持ち主です。
作品《丹波口》は、須田がまだ大学院生だったころに描いたもので、
これは、須田の住んでいた京都の風景ということです。
当時は印象派の画家たちが日本にも広まりはじめた時期で、
この作品にもその影響が見てとれます。
続いての作品が《山の斜面》という作品で、須田がスペインに留学したときに描いた風景画です。
当時、多くの若い画家たちは、フランスを目指していたのですが、須田はスペインを選びました。
彼は、絵画が東洋と西洋で違う発展をしてきたことことの答えを確かめるために
写実的で重厚感のある絵画表現が色濃く残るスペインへ向かったようです。
作品には少しずつその影響を取り入れているようで、
この作品も影の表現など、明暗の対比がとてもドラマチックです。
最後の作品は『薔薇』です。須田は薔薇を好んで描いていて、
この作品では、黒に近い影の中から浮かび上がるように花びらが見えてきます。
光と闇の対比の中に、花の生命力や静けさを込めているように感じられます。
近代館の『であう、はじまる―画家たちの初期作品』では、
須田国太郎のほかにも画家たちの若き感性が溢れる初期作品から晩年の作品をご覧いただけます。
ぜひご来館いただき、画家の人生に出会ってみてください。
美術館基本情報
上原美術館 下田市宇土金341 電話:0558-28-1228
●展示:近代館「であう、はじまる―画家たちの初期作品」
●会期:開催中~2025年9月23日(火・祝) 会期中無休
●開館時間:9時30分~16時30分(入館は16時まで)
●入館料:大人1000円、学生500円、高校生まで入館無料 *近代館・仏教館の共通券です。
●近代館に隣接する仏教館では「伊豆 民間仏めぐり」を同時開催中です。