ボイスキュー

現在、上原美術館では仏教館で特別展「伊豆　民間仏めぐり」、
そして近代館では「であう、はじまる―画家たちの初期作品」を開催中です。
本日は仏教館の特別展に出展されている仏像をいくつか紹介いたします。

現在、大阪万博が開催されて盛況ですが、関西地区の美術館、博物館も盛り上がっていて
大阪市立美術館では「日本国宝展」、京都国立博物館では「美のるつぼ展」、
奈良国立博物館では「超国宝展」といずれも「国宝」の文化財が主役です。
確かに国宝となっているものは素晴らしく、伊豆にももちろんあるわけですが、
今回の展示はその真逆で、古くもない、大きくもない、上手ではないかもしれない、
でも、向き合ったとき、心に響くような仏像を展示しました。

まずは三島市安久の長福寺さまに伝わる韋駄天像です。
高さ24.7㎝。手の上にのる大きさの仏像で、時代は江戸時代。
韋駄天といえば、足が速いことで有名で、強くて、
泥棒や悪いものからお寺を守ってくれる頼もしい守護神です。

次も三島市安久の長福寺からお借りしたお像です。高さ17.3㎝。
やはり小さなお像で、江戸時代の終わりから明治時代に造られたものと思われます。
実はこのお像は、天神様と思われる神様のお像で、石でできています。
古い時代の伊豆は、伊豆石と呼ばれる石の産地で
伊豆石には堅く丈夫なものと軟らかく加工しやすいものがありました。
堅いものは江戸城の石垣に使われたりしていますが、
このお像は軟らかい石で彫られたものです。

今度は下田市須原の薬師堂で発見された、20.3㎝の木のお像です。
「これは何だろう？」と思わせる、不思議な魅力をもったお像ではないでしょうか。

他にも南伊豆町中木の薬師堂から弘法大師像なども展示しています。

民間仏の魅力は、国宝の圧倒的な素晴らしさとは違って、
お像を見たときにいろいろと感じたり考えたりできることではないでしょうか。
ご来館いただき、ぜひそのような感覚を味わってみてください。

美術館基本情報
　上原美術館　下田市宇土金341　電話：0558-28-1228
　●展示：仏教館「伊豆　民間仏めぐり」
　●会期：開催中～2025年9月23日(火･祝)　　会期中無休
　●開館時間：9時30分～16時30分（入館は16時まで）
　●入館料：大人1000円、学生500円、高校生まで入館無料　＊近代館･仏教館の共通券です。
　●仏教館に隣接する近代館では「であう、はじまる―画家たちの初期作品」を同時開催中です。