4月28日 アートインフォメーション 上原美術館
上原美術館では、4月26日(土)より、新しい展覧会が始まりました。
近代館では「であう、はじまる―画家たちの初期作品」、仏教館では「伊豆 民間仏めぐり」です。
本日は近代館の展覧会について紹介します。
上原コレクションの特徴の一つに画家たちの初期作品が多いということがあります。
コレクターの上原昭二さんは自分の家に飾るため好きな絵だけを集めたのですが、
その一貫した特徴は、あまり派手ではないこと、いつみても心が落ち着く絵でした。
そうして集めた絵を振り返ってみると、結果的に画家たちの若い頃の作品が多かったのです。
上記、展示風景の左側の作品にご注目ください。
残念ながら著作権の関係で、展示風景の写真しかお見せできませんが、
実はピカソ15歳の作品なのです。
この≪科学と慈愛≫という絵は、コンクールに出すための最終準備作で、
16歳で、この油彩画を2メートルの大作にして、展覧会で金賞を取りました。
スペインのピカソ美術館に収蔵して国外にめったに出ることはないのですが、
ピカソが生涯、手元に置いていたものをそのご遺族がコレクターの上原昭二さんに
譲ってくださいました。
ポール・シニャック≪アニエール、洗濯船≫
次に紹介するのは、ポール・シニャックという画家が18歳の頃に描いた作品です。
点描の画家として知られているシニャックですが、
この絵では水面や手前の岸が点に近い雰囲気で、そして船や遠くの方は
普通に描かれています。
シニャックはこのころモネに憧れて絵を描いていたようで、
絵の水面のきらめきはそのことを納得できそうです。
ある時、かのゴーギャンからは、
模写はしないようにとたしなめられたこともあるらしいです。
ポール・ゴーギャン≪サン=クルー、森の中≫1873年
そのゴーギャンが、いちばん初めに描いた風景画と考えられている作品も
この展覧会で観ることができます。
森の中に小さく描かれている3名の女性は、ゴーギャンの妻になる人と
その友人かもしれません。
ゴーギャンは株の大暴落といった世の中の状況からか、
絵で生計を保つのが難しく、妻とは離れ離れとなったようですが、
この絵は、その妻が生涯手元に置いていた作品です。
画家たちの初期作品には、さまざまな物語が隠されています。
ご来館いただき、ぜひそのような作品をご鑑賞ください。
美術館基本情報
上原美術館 下田市宇土金341 電話:0558-28-1228
●展示:「であう、はじまる―画家たちの初期作品」【近代館】
●会期:開催中~2025年9月23日(火・祝) 会期中無休
●開館時間:9時30分~16時30分(入館は16時まで)
●入館料:大人1000円、学生500円、高校生まで入館無料 *近代館・仏教館の共通券です。
●近代館に隣接する仏教館では「伊豆 民間仏めぐり」を同時開催中です。