6月24日 アートインフォメーション 上原美術館
現在、上原美術館では、仏教館で「都の祈り 伊豆の祈り」、
近代館で「もののありか―静物画のふしぎ」を開催しています。
今回は近代館の展示についてご案内します。
「もののありか―静物画のふしぎ」では上原コレクションの中から、静物画を中心に
描かれた「もの」の背景に広がる大きな世界観を紹介しています。
その中で今回取り上げるのは、ポール・セザンヌの「ウルビノ壺のある静物」です。
「静物画」には花、果物、野菜などの自然のものや、壺や皿などの陶器、
グラス、布、本、パンなど人口的に津倉らえたものといったさまざまな「もの」が
描かれています。画家たちはそれらを描きながら、その後ろにある大きな存在を
見つめていて、「ものとは何か」という哲学者も向き合ってきた問題とも言えそうです。
セザンヌの「ウルビノ壺のある静物」は彼が30代前半のころの作品です。
洋ナシなどの果物と西洋トマト、そしてイタリアのウルビーノという地域で作られた
マヨルカ焼きの鮮やかな壺が描かれています。
壺は写実的というよりは色の塗り方を工夫して「もの」のふしぎな存在感を表現しているようです。
実はセザンヌはこの作品と同じ構図で、別の角度からのものも描いていて
そちらでは立体的に奥行きを感じることができます。
このように平面と立体を行き来することで「もののありか」を問いかけて
その後の独特な静物画、平面や立体などの複数の視点を混在させたものを生み出してきました。
展示室には中央に円柱型の展示台を設置して、この作品を展示しています。
果物が転がるような静物画のふしぎな存在感をイメージした円い展示台です。
作品とともにそんな空間もお楽しみいただければと思います。
美術館基本情報
上原美術館 下田市宇土金341 電話:0558-28-1228
●展示:もののありかー静物画のふしぎ【近代館】
●会期:開催中~2024年9月23日(月・休) 会期中無休
●開館時間:9時30分~16時30分(入館は16時まで)
●入館料:大人1000円、学生500円、高校生以下入館無料
●仏教館に隣接する近代館では企画展「都の祈り 伊豆の祈り」を同時開催中です。