9月25日 アートインフォメーション 上原美術館
上原美術館は二つの建物からなっているのですが、このうちの近代館では「絵画は語る」という企画展を、仏教館では、特別展「伊豆仏に出逢う—上原美術館の40年」という展示を準備中。
今回はこのうちの仏教館の「伊豆仏に出逢う」という特別展をご紹介したいと思います。
上原美術館は近代館と仏教館という二つの建物からなるとお話ししましたが、もともとこの二つは、上原仏教美術館と上原近代美術館という別々の美術館で、この二つが2017年に一つになって生まれた美術館です。
実は今年、上原仏教美術館がオープンして40周年に当たる記念の年。
上原仏教美術館はオープン直後から、伊豆の仏像の調査を行ってきましたので、今回の展示は40年間の調査活動を、発見された仏像で振り返る展示なのです。
今回の展示では20体の仏像と6点の絵画を展示するのですが、今回はその中から、平安時代の仏像を紹介したいと思います。
●天神神社の多聞天、増長天像
これは下田市蓮台寺地区の天神神社に伝わる、四天王のうちの2体です。
実は古い時代は、神仏習合といって、神社に仏像があったり、神社の境内に五重塔が立っていたりするのが当たり前だったのです(三嶋大社にも五重塔がありました)。
明治時代に神仏分離、廃仏毀釈という出来事があって、神社から仏像や仏教的なものは撤去されてしましたが。蓮台寺の天神神社はそれが残っているのです。
このお像が神社以外で公開されるのは初公開なのです。普段は長い石段を登り切った山の中腹にある神社にあります。
階段を登りきると神社の境内で、正面に天神様の拝殿が建っているのですが、その左手の収蔵庫にこんな感じで安置されています。
収蔵庫の真ん中には等身大をはるかに超える平安時代後期の大日如来像が座っています。その周りを守るのが四天王。ところで、四天王、手前の二体と奥に二体で大きさが違うのが分かりますか?
奥の二体は大きいけど、手前は小さいですよね。今回お借りしたのは奥の二体で、像高が131センチ。手前は1m弱です。実は奥の二体は平安時代のもので、手前は江戸時代。時代も違うのです。どうやらもともとは二点といって、二体の仏さまだったものに、江戸時代、二体追加して四天王になったらしいのです。
●二体の仏像の姿について
この色は、仏像が作られてから七百数十年後、宝永元年(1704年)に塗られたもののようなのですが、綺麗ですよね!そしてお姿はがっしりして逞しい。四天王は御本尊やお寺、信仰する人を守る守り神なので、頼もしいです。
このお像、山の上から山道をこんな感じで下ろしてきましたが、今ちょうど、神社では御本尊の大日如来像の御開帳が行われています。期間は10月7日~15日の9日間。貴重な機会なので、是非神社の方にも行ってみてください!
最後に基本情報は次の通りです。
●会期:2023年10月7日(土)~2024年1月8日(月曜祝日) 会期中は無休です
●開館時間:9時30分~16時30分
●入館料:大人1000円、高校生まで500円
●仏教館に隣接する近代館では企画展「絵画は語る」を同時開催中です。